相続手続きに必要な戸籍の集め方【その1】

相続手続きに必要な戸籍には様々な種類があります

一口に戸籍といっても現在戸籍除籍改製原戸籍といった様々な戸籍の種類があります。また、謄本抄本といった戸籍に記載される内容の違いによっても呼び方が変わります。

今回のコラムでは相続手続きを始めるにあたって必要な、戸籍の種類の基礎知識をお伝えします。

なお、具体的な戸籍の読み方古い戸籍のさかのぼり方については下記のコラムで解説していますのでご参照ください。

相続手続きに必要な戸籍の集め方【その2】

なぜ相続手続きのスタートは戸籍集めから?

亡くなった方の遺産の相続手続きを始める上で、まず最初に行うべきことは「今回の相続で誰が相続人になるのか」を調べる作業です。そのためには亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めて、相続人となる方を全員探し出す必要があります。

その後に遺産分割協議をする際にも相続人全員で行わなければ無効になってしまうので、漏れが無いよう慎重に戸籍集めをしなければなりません。

また、土地や家・建物といった不動産の相続登記(不動産の名義変更)や、預貯金の解約や株式の名義変更、相続税の申告や生命保険金の受け取り。こういった相続手続きを行う際にも、相続人であることを証明する資料として必ず戸籍の提出を求められるので、早い段階で戸籍集めをするのが相続手続きを円滑に進める上で重要になります。

戸籍の種類について

まず初めに、戸籍の3つの種類と、戸籍とセットで管理されている戸籍の附票についてご説明します。

戸籍の種類(戸籍・除籍・改製原戸籍・戸籍の附票)

戸籍には大きく分けて「戸籍(現在戸籍)」「除籍」「改製原戸籍」の3種類があり、一般的にはそれら3つをまとめて戸籍と呼ばれています。

また、戸籍とセットで管理されているものとして「戸籍の附票」と呼ばれるものがあり、その戸籍に入っていた時の住所の移り変わりが記載されている優れものです。

戸籍の附票の具体的な使い方としては、例えば相続登記(不動産の名義変更)をする際に、亡くなった方の登記簿上の住所と亡くなった時の住民票の住所が違う場合には、それら2つの住所を住民票で繋げる必要があります。

ただ、引っ越しを何度もしていた場合には住民票を複数枚集めなければならず面倒です。そのような場合にも戸籍の附票であれば、同じ戸籍=同じ本籍地にいた時の住所変更が全て記載されているため、司法書士などの実務家にとって非常に便利なものとなっています。

戸籍の種類についてまとめると、下記のようになります。

 

戸籍の種類

戸籍
(現在戸籍)

今現在、使用されている戸籍。戸籍と呼ぶと範囲が広く紛らわしいので、現在戸籍と呼ぶこともある。
除籍戸籍に記載されていた全員が死亡や婚姻などの理由によって居なくなった後の戸籍。イメージとしては、子が全員結婚して両親の戸籍から抜けたあとに、父が亡くなった場合はまだ現在戸籍に母がいるので父の死亡は現在戸籍に記載され、その後に母も亡くなった場合は現在戸籍を閉鎖し、代わりに除籍が新たに作成され、そこに亡くなった両親および結婚で抜けた子が記載される
改製原戸籍法改正等により新たなタイプの戸籍が作られた(=改製された)場合に、その新しい戸籍の元になった古い戸籍。改製原戸籍=改製の元となった戸籍、と覚えると分かりやすい
戸籍の附票戸籍に入っている人の住所移転の記録が全て記載されたもの。戸籍とセットで管理されている。
なお、婚姻や転籍などにより本籍地が変わる(=戸籍が変わる)と、それ以後の住所移転の記録は新しい本籍地の戸籍にしか記録されない

謄本と抄本の違いについて

謄本と抄本

次に、謄本(とうほん)と抄本(しょうほん)の違いについてご説明します。

戸籍謄本とは「その戸籍に入ってる全員が記載されたもの」を呼び、戸籍抄本とは「その戸籍に入っている一部の個人が記載されたもの」を呼びます。

もし官公庁や金融機関から「戸籍を取ってきて下さい」と言われた場合は、全員が記載されている戸籍謄本を持って行けば間違いはありません。司法書士を始めとする専門家から言われた場合も同様です。なお、司法書士が相続手続きを行う際にも、通常この戸籍謄本を使用します。

以上のように、通常の手続きは戸籍謄本を使って行うことになります。ただ、戸籍謄本だと同じ戸籍に入っている全員が記載されてしまうため、プライバシーの観点から気にされる方もいらっしゃるかと思います。

パスポート申請のように個人だけの証明で十分な場合には、戸籍抄本でOKですのでケースバイケースで取得しても良いかもしれません。

全部事項証明書と個人事項証明書

続いて、全部事項証明書個人事項証明書の違いについてご説明します。

前項で謄本と抄本についてご説明しましたが、名称が違うだけで意味は同じものになります。戸籍がコンピュータ化される前のいわゆる昔のものを「謄本・抄本」と呼び、コンピュータ化された後の新しいものを「全部事項証明書・個人事項証明書」と呼びます。

全部事項証明書=謄本
個人事項証明書=抄本

つまり「戸籍謄本」であれば「その戸籍に入ってる全員が記載されたもので、コンピュータ化される前のもの」を指し、「戸籍全部事項証明書」であれば「その戸籍に入ってる全員が記載されたもので、コンピュータ化された後のもの」を指します。

謄本と抄本についてまとめると、下記のようになります。

 

謄本と抄本
謄本
(全部事項証明書)
戸籍に入っている全員が記載されたもの。
コンピュータ化される前のものを謄本、コンピュータ化された後のものを全部事項証明書と呼ぶ。
相続手続きでは通常こちらを使用する
抄本
(個人事項証明書)
戸籍に入っている一部の個人が記載されたもの。コンピュータ化される前のものを抄本、コンピュータ化された後のものを個人事項証明書と呼ぶ。
自分の戸籍だけを記載できるプライバシーに配慮したもの。

おわりに

なんだか非常にややこしい話をしてきましたが、実際のところあまり細かいことは気にしなくても市区町村の戸籍係では、どのような戸籍が欲しいか、何に使うのかを伝えれば職員の方が判断してくれると思います。

ですので、相続手続きを始める際の戸籍集めは司法書士等の専門家に依頼しなくても、ご自身で行うことも十分可能です。

もし、ご自身で戸籍集めをやってみたが思ったより煩雑だった場合や、仕事が多忙で集める余裕が無い場合早急に集めたい場合には当事務所までご相談いただければ幸いです。遠方の役所や複雑な相続関係、明治・大正時代の難解な戸籍もスピーディーに収集いたします。

相続手続きに必要な戸籍の集め方【その2】

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