相続手続きに必要な戸籍の集め方【その2】

相続手続きの第一歩は戸籍集めです。基本的には亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍各相続人の現在戸籍が必要になります。

前回のコラムでは相続手続きに必要な戸籍の種類と、まず初めに戸籍集めから行う理由についてご説明しました。除籍や改製原戸籍の意味、謄本と抄本の違いなどを解説していますのでご参照ください。

相続手続きに必要な戸籍の集め方【その1】

今回は市区町村の役所に対しての請求方法や必要書類など、戸籍の集め方についてご説明します。

そもそも戸籍は誰が集められるか

原則として相続人であれば委任状無しで亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めることが可能です。

無条件で戸籍が集められる人

・配偶者
・直系血族(子・孫・父母・祖父母など)

これらの方は誰でも亡くなった方の戸籍取得が可能です。祖父母や孫は相続人ではない可能性もありますが、戸籍法に取得できると定められています。

また、これらの方が戸籍を請求する場合には細かい理由は不要です。ただ単に「相続のため」でOKです。

条件付きで戸籍が集められる人

・兄弟姉妹
・甥、姪

兄弟姉妹間での相続のように、相続人が亡くなった方の直系血族ではない場合でも取得が可能です。この場合も委任状は不要です。

ただし、戸籍が必要な理由を記載し、自分が相続人である証拠を提出しなければなりません。何故ならば兄弟姉妹や甥・姪は、亡くなった方に子や親がいないときに初めて相続人になるからです。

子や親がいないことを戸籍のコピーをもって証明するわけですが、かなりの通数になり複雑です。こういったケースの戸籍集めは司法書士などの専門家に依頼した方が良いかもしれません

戸籍を取得できる役所はどこ?

市区町村の役所であればどこでもいいわけではありません。2024年以降に役所であればどこでも取得が可能になる戸籍法改正が予定されていますが、現在のところ戸籍を取得できる役所は本籍地のある市区町村の役所ということになります。

亡くなった方の本籍地が生まれてからずっと変わらず、かつ近隣の役所であれば窓口で一括請求することも可能ですが、遠方の役所の場合は郵送で請求することになるでしょう。

戸籍の集め方

戸籍集めのポイント

それでは実際に戸籍集めのスタートですが、パソコンやスマートフォンをお持ちの方は、まず請求先の市区町村のホームページをご覧になることをお勧めします。

現在はほとんどのホームページにおいて戸籍や住民票などの請求手続きの案内があると思います。戸籍の費用や詳しい手続きが記載されていますので、後述する郵送請求の際には非常に便利です。

なお、市区町村によっては本庁以外の分室や出張所、サービスセンターでも戸籍の取得が可能です。ただし、分室等の場合には改製原戸籍などの古い戸籍が取得ができない可能性があるので、事前にホームページや電話での問い合わせをしたほうがいいでしょう。

窓口での戸籍の請求方法

必ず持参するものは、窓口に行くご自身の運転免許証等の顔写真付き身分証です。基本的には、ご自身が記載されている戸籍を請求する場合には、この身分証だけで大丈夫です。

反対に、ご自身が記載されていない戸籍、例えば父母の出生から結婚までの戸籍を請求する場合には、相続人であることを証明するための戸籍が必要になります。亡くなった方とご自身が同じ市区町村であればその役所で確認してくれますが、違う場合には事前に該当の戸籍を取得しておく必要があります。

郵送での戸籍の請求方法

郵送で戸籍を請求する際に必要なものは下記のとおりです。前述したように請求先の市区町村のホームページに詳しい請求方法が載っています。

検索のコツとしては「〇〇市 戸籍 郵送請求」などで検索するとスムーズに該当ページにたどり着くと思います。

(1)戸籍等の請求書

ホームページからダウンロードして印刷し、必要事項を記入します。

(2)定額小為替

あらかじめ郵便局で購入しておきます。戸籍等の料金分を同封します。役所によっては「おつりが出ないようにピッタリの金額分を入れて下さい」と言われることもありますが、その役所に欲しい戸籍が何枚あるか正確には分からないので正直難しいです。

足りないともう一度定額小為替を郵送することになるので、少し多めに入れることをお勧めします。

なお、おつりが出た場合は定額小為替で返される場合と、切手で返される場合の2パターンがあります。現金では返ってきません。

(3)現在の住所が記載されている身分証のコピー

運転免許証やマイナンバーカード等の顔写真付きのものであれば1点でOKです。顔写真付きでない身分証の場合は「健康保険証と年金手帳」のように2点必要になります。

(4)戸籍等のコピー

前述したように請求者が亡くなった方の兄弟姉妹甥姪である場合には、自分が相続人であることを証明する必要があります。

(5)返信用封筒

切手を貼った返信用封筒を同封します。切手の金額についてですが、返ってくる戸籍の枚数次第なので発送時には分かりません。ただ、郵送での戸籍請求であれば不足料金受取人払い」ができる可能性が高いです。

正式な方法ではないので断言はできませんが、私の経験上、差出人が市区町村であれば間違いなく「不足料金受取人払い」になるかと思われます。

したがって明らかに重量オーバーする場合は別として、とりあえず長3封筒であれば84円角2封筒であれば120円を貼っておけばOKです。

戸籍の読み方・さかのぼり方

戸籍集めの具体的な流れ

基本的な相続手続きに必要な戸籍は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍相続人全員の現在戸籍です。次のような一般的な家族構成を例にとって戸籍集めの流れを説明をします。

・父、母、長女、長男の4人家族
・長女は婚姻して配偶者の戸籍へ入籍、長男は独身で両親と同居
・父が亡くなり、推定相続人は母、長女、長男の3人

以上の条件で、長男が1人で戸籍を集めるとします。

(1)父の本籍地のある市区町村へ請求

父の本籍地が分かっているなら、その市区町村の役所で手に入れられる戸籍を全部請求してみます。

請求する際のコツとしては「父の相続手続きで戸籍を集めてます。そちらにあるもの全て下さい」といった内容を窓口請求であれば直接伝え、郵送請求であれば付箋などにメモ書きして伝えることです。

戸籍担当の職員はプロですので、必要な戸籍を判断して交付してくれます。そうすると下記のものが交付されるはずです。

・現在戸籍(父が亡くなった記載と母・長男が記載されているもの)
・現在戸籍の1つ前の戸籍(改製原戸籍。父と母の婚姻後のもの)

この時点で母と長男の現在戸籍が手に入ります。

長女については、婚姻したのが最近であれば現在戸籍、かなり前であれば1つ前の改製原戸籍に戸籍から抜けたことが記載されています。

ただ、長女は自分の現在戸籍は自分で取れますので、あえて長男が代わりに請求する必要はありません。というよりも、同居していない兄弟姉妹の戸籍は委任状が無ければ取れませんので、通常は長女に自分の現在戸籍を取ってもらうことになります。

手に入れたもの
・母と長男の現在戸籍
・長女の現在戸籍
・父の婚姻から死亡までの戸籍

足りないもの
・父の出生から婚姻までの戸籍

(2)父の婚姻前の本籍地へ請求

手に入れた改製原戸籍には父の婚姻前の本籍地が載っていますので、そこに(1)と同様に「父の相続手続きで戸籍を集めてます。そちらにあるもの全て下さい」と請求し、下記のものが交付されたとします。

・父の12歳から婚姻までの戸籍

この本籍地では12歳以前のものが無いため、手に入れた一番古い戸籍を見て1つ前の本籍地を探します。

手に入れたもの
・母と長男の現在戸籍
・長女の現在戸籍
・父の12歳から死亡までの戸籍

足りないもの
・父の出生から12歳までの戸籍

(3)父の12歳以前の本籍地へ請求

今までと同様に「父の相続手続きで戸籍を集めてます。そちらにあるもの全て下さい」でOKです。恐らくこの役所で父の出生時の戸籍まで手に入るはずです。もし足りない場合には、さらに古い本籍地へ請求することになります。

これでようやく4人家族の相続手続きに必要な戸籍が揃いました。兄弟姉妹の相続や代襲相続の場合はかなり煩雑になりがちですが、本ケースのような核家族の場合は比較的容易に集められるでしょう。

より詳しい戸籍の集め方を知りたい方

戸籍の集め方については様々な本が出版されていますので、より詳しい解説や戸籍の読み方を知りたい方は購入してみるのも良いかもしれません。図や実際の戸籍などが載っていて分かりやすいと思います。

また、本ではなくてもインターネットで調べると資料が豊富にあります。参考までに新宿区の戸籍係の方々が作成したPDFリンクを添付します。

http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000252913.pdf

ただ、一般の方にとって戸籍集めは何度も行うことではありませんので、ご自身の使える時間と労力を考えると、費用はかかりますが司法書士などの専門家に依頼することも選択肢の1つかもしれません。

司法書士に戸籍集めを依頼するメリット

司法書士は職権で戸籍集めが可能です

司法書士や弁護士などの国家資格者は、職務に必要な範囲に限り自らの責任において職権で戸籍集めが可能です。

具体的には職務上請求と呼ばれる方法で戸籍請求を行うことにより、戸籍のコピーや各種の資料を提示することなく全国どこの役所でも戸籍の取得ができます。ですので、一般の方に比べてかなりスピーディーな戸籍集めが可能になります。

もし、ご自身で戸籍集めをやってみたが思ったより煩雑だった場合や、仕事が多忙で集める余裕が無い場合早急に集めたい場合には当事務所までご相談いただければ幸いです。

遠方の役所や複雑な相続関係、明治・大正時代の難解な戸籍もスピーディーに確実に収集いたします。

相続手続きに必要な戸籍の集め方【その1】

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